“今”求められるクロスブラウザ対応 コラム#153

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1. クロスブラウザ対応はもう古い?いや、まだ現役です。

昔はIE6や7と格闘するのが当たり前でした。あの頃に比べると、今はChrome、Safari、Firefox、Edgeと“ちゃんとしたブラウザ”同士の戦いになっていて、技術者としてはだいぶ平和になったと思いがちです。でも実際は、「同じコードがブラウザで違う動きをする」問題は今でも消えていません。特にSafariは、iOS独自の挙動が多く、気を抜くと意図しないUIになってしまうこともあります。

2. 最新の課題は“古いブラウザ”じゃない、“最新すぎるブラウザ”

ここ数年で増えてきたのが、モダンAPIの実装差です。例えば、CSSのcontainer queriesや、JavaScriptのWebGPUSharedArrayBufferの扱いなど、ブラウザごとに「実験的サポート」や「未実装」が分かれています。特に、リリースサイクルが速いChromeと、慎重なSafariでは明確な差が出ることも。つまり今は、「古いブラウザに対応する」よりも、「最新機能をどう取り入れるか」のほうが悩みどころです。

3. ベストプラクティスは“ユニバーサル設計”と“段階的な導入”

私のおすすめは、「Progressive Enhancement(段階的強化)」と「Feature Detection」を基本に据えることです。古い考え方に見えるかもしれませんが、今の時代でも非常に有効です。たとえば、新しいCSS機能を使いたい場合は@supportsで条件分岐し、対応しているブラウザにはリッチなUIを、それ以外にはベーシックなUIを提供する。こうすれば、どのブラウザでも“壊れない”設計ができます。

4. 開発・検証環境をモダンに保つことが最大の予防策

今のクロスブラウザ対応は、もはや手動検証だけでは限界があります。最近はBrowserStackLambdaTestのようなクラウドベースの検証ツールも増えていますので活用をお勧めします。特にスマホ実機検証は手間がかかるので、こういったツールがあると助かります。また、CI/CDにテスト自動化を組み込んで、リグレッションやUI崩れを早期に検出できる体制も、現代的なベストプラクティスの一つです。

昔と違って、対応ブラウザの数は絞りやすくなっていますが、「どの環境でも最低限動く」ことは今でもユーザー体験の基本です。特に業務アプリケーションでは、ユーザーのブラウザ選択権が制限されているケースも多いので、開発者としてはその前提も考慮に入れる必要があります。地味なようで、これは立派な“技術力”だと思います。

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