
2026年、日本のAI政策は大きな転換点を迎えています。
2025年12月に閣議決定された「人工知能基本計画」において、内閣は「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すAI反転攻勢を宣言しました。石破政権からの流れを受け、内閣府のAI戦略会議では、物流・製造・行政サービスなどの分野で「AIエージェント」の社会実装が重点事項として掲げられています。背景にあるのは、深刻化する労働力不足です。政府が期待を寄せているのは人の指示を待つAIではなく、自律的にタスクを完遂する「AIエージェント」です。
本記事では、今後の国家戦略の中核となる「AIエージェント」について、2回に分けて光と影を掘り下げます。前編では、その基本的な考え方とともに、先行する企業の成功事例を実務的な視点から解説します。
・AIとの付き合い方について興味がある方
・業務に積極的に「AIエージェント」を取り入れたい方
・ニュースで聞く「AI」や「AIエージェント」の最新動向が気になる方
今さら聞けないAIエージェントって?
「ChatGPTなどのAIは知っているけれど、AIエージェントは何が違うの?」
そんな疑問を持つ方も少なくないはず。2026年、ビジネスの現場で主役となりつつあるのは、単に答えてくれるAIではなく、自ら考えて行動するAIです。まるで自分専用の「優秀な秘書」がデジタルの中に現れたような、劇的な変化が起きています。
この章では、AIエージェントの正体を分かりやすく解説していきます。
◇ AIエージェントとは・・・
AIエージェントとは、一言でいえば「自分で目標(ゴール)を決めて、最後までやり遂げてくれるAI」のことです。これまでのチャットAI(ChatGPTやGeminiなど)は、こちらが質問をすると答えを教えてくれる「物知りな百科事典」のような存在でした。しかし、AIエージェントはさらに一歩進んでいます。
例えば、あなたが「来週の出張の準備をしておいて」と頼んだとします。
つまり、「考える」だけでなく、自分で「実行する」のがAIエージェントの最大の特徴です。
人間がいちいち細かい指示(プロンプト)を出さなくても、AI自身で「次はこれをしよう」と判断して進めてくれるのです。
では、なぜ今これほどまでにAIエージェントが注目されているのでしょうか?
次の章で、その優れたポイントを具体的に掘り下げて考えていきたいと思います。
AIエージェントのココが凄い!
AIエージェントが注目される理由は、単なる「効率化」を超えた圧倒的な自律性にあります。
人間が眠っている間も、彼らはクラウドの中で思考を止めず、複数のステップを伴う複雑なタスクを淡々とこなしていきます。従来のAIが「優れた辞書」だったのに対し、エージェントはまるで複数の専門家がチームを組んで働いているような、そんな驚きの能力が私たちの身近に降りてきました。
この章では、AIエージェントが持つ驚異的な3つの能力について詳しく見ていきましょう。
◆AIエージェントの優れた3つの能力
- 自律的なプランニング ー 不測の事態にも動じない「思考のループ」
従来の自動化ツール(RPAなど)は、人間が「Aの次はBをする」と決めたルートしか進めませんでした。しかし、AIエージェントは「推論(Reasoning)」というプロセスを持っています。
・ゴールからの逆算: 「今月の経費精算を終わらせて」と指示すると、エージェントはまず「未処理の領収書を探す」「金額を抽出する」「システムへ入力する」といったタスクの分解を自ら行います。
・自己修正能力: もし途中で「領収書の画像がぼやけて読めない」という問題が発生した場合、従来のツールはそこで停止しますが、エージェントは「送信者に再送を依頼するメール案を作成する」といった代替案を自分で考え、実行を継続します。 - マルチツール連携 ー アプリの壁を越える「デジタル操作のプロ」
これまでのAIはチャット画面の中だけで完結しがちでしたが、エージェントは現実の業務ツールを自由自在に操ります。
・APIとブラウザの二刀流: Slackでの相談内容を読み取り、ブラウザで競合他社の価格を調査し、その結果をExcelにまとめてメールで報告する。こうした異なるアプリを跨いだ連続動作を、人間の手を介さずに行います。
・非構造化データの橋渡し: 人間が書いた曖昧な指示やメール(非構造化データ)を理解し、それをデータベースや基幹システムといった「カッチリした枠組み」へ正確に流し込む、高度な翻訳者としての役割も果たします。 - 24時間365日の非同期処理 ー 生産性の「ボトムアップ」
人間が働ける時間には限界がありますが、クラウド上で動くAIエージェントにはその概念がありません。
・タイムラグの解消: 人間が退社した後に発生した海外からの問い合わせや、深夜に届いた大量のデータ処理を、AIがその場で即座に開始します。
・朝の「ギフト」: 翌朝、人間が出社してPCを開いたときには、「一晩かけてAIが完了させておいた分析レポート」や「整理済みのドラフト」がすでに手元にある状態を作れます。
これは単なる時短ではなく、人間の業務の開始地点を一段高いレベルへ引き上げることを意味します。
それでは、実際にこの優れた能力を使いこなす企業は、どのような成果を上げているのでしょうか。
次の章では、世界と日本の最新事例を見ていきたいと思います。

今やAIエージェントは「指示を待つツール」から「共に働くパートナー」へと進化を遂げているようです!
国内外の導入例&成功事例3選
「AIエージェントはまだ実験段階」という認識は、もはや過去のものです。
2025年から2026年にかけて、多くの企業がPoC(概念実証)を卒業し、実務で圧倒的なリターンを叩き出す「本番導入」のフェーズへと移行しました。単なる効率化にとどまらず、組織のあり方そのものを変えつつある事例が次々と登場しています。
この章では、国内外で今まさに注目を集めている3つの成功事例をピックアップしてご紹介します。
事例①:「Agentforce」顧客体験とオペレーション全体のパフォーマンス再設計
カスタマーサポートの世界を塗り替えたサービスの一つに、Salesforceの「Agentforce」が挙げられます。従来のチャットボットが「あらかじめ決められた回答」しかできなかったのに対し、このエージェントは顧客の購入履歴や過去のやり取りを理解した上で、自律的に解決策を提示します。
学術出版大手のWiley社では、顧客からの問い合わせの40%以上をAIエージェントが自律的に解決しました。さらに、システム連携による自動化が進んだことで213%という驚異的なROI(投資対効果)を達成しています。
事例②:「Devin」個人の生産性UPを超え、チームの構造変革へ
Cognition社が開発した「Devin」は、従来の「コード補完AI」や「自動生成ツール」とは一線を画し、世界初の「自律型AIソフトウェアエンジニア」と呼ばれ、もはや人間のプログラマーの「補助」ではなく一人の「ジュニアエンジニア」としてチームに参画します。
Devinは現在、セキュリティの脆弱性修正において、人間の20倍の効率(人間が30分かかる作業を1.5分で完了)を発揮しています。また、開発チームによるプルリクエスト(コード修正の提案)の承認・マージ率は、2024年の34%から67%へと倍増しました。
事例③:三菱UFJ銀行・金融特化型AIエージェントの国内初導入
日本最大手の三菱UFJ銀行(MUFG)は、2024年度から2026年度までの中期経営計画において「AI Native」を掲げ、大規模なAIエージェント活用を進めています。全行規模での自律型AI実装を推進しており、稟議書の作成補助や社内照会対応などを担う想定があり、2027年3月期までに全行員がAIエージェントと共働する体制を目指しています。

【前編】まとめ
ここまで、AIエージェントがいかに優れ、すでに実務の現場でその実力を発揮して私たちのビジネスを加速させる力を持っているかを見てきました。しかし、この利便性の裏には、従来の技術では解決できない「精度の限界」や「制御の難しさ」という影も潜んでいます。2026年の今、優れた成功事例が並ぶ一方で多くのAIプロジェクトが失敗し、専門家たちが警鐘を鳴らし始めているのです。
「AIエージェントは、本当に万能なのか?」、 「なぜ、多くの現場でエラーが続出しているのか?」、
次回【後編】では、あえてAIエージェントの直面している構造的な課題やリスクににスポットを当て、そちらを掘り下げていきます。
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【前編】振り返り
今回の記事について振り返ります。

身近になってきたAIですが、「考えて書く」だけでなく、「動かして直す」まで自律的に実行することが “当たり前” になる現実が、すぐそこまで来ています。
AIエージェントのポイントとして挙げられる、思考 → 実装 → 実行 → 検証 → 修正という開発ループを人間の介在なしで回し切れる点について、どこまでも “人間不在” やれてしまうことが本当に良い事ばかりなのか、、、次回はそのモヤモヤについても触れられたらと思います。

<<IAJってどんな会社?>>
創業以来25年、専門知識が少ないジャンルでもお客様とお話ししながら伴走していくようなスタイルで、必要であればコード解析から行い、最新技術を取り入れながら、お客様のご要望(課題)を限りなく近い形で実現してまいりました。
おかげさまで、得意ジャンルはこれ、といった特化型な開発会社ではありませんが、 様々な業界のシステム開発を任せていただき、月間ユーザー200万人以上規模のポイント制度を用いたアプリ開発や1000万人規模のシステム開発をはじめ、多数のiOSやAndroidのアプリ開発や規模の大きなシステム開発などの実績を積んでまいりました。
私たちの強みは、実際に今後も時代に沿ってサービスも成長させていけるようなインフラ面も考慮した開発を行っている点で、実際にリプレイスを行いながら十数年にわたって運用しているサービスもございます。
他にも、元々は他社で構築したサービスのリプレイスについても実績はございますので、ぜひ一度、私たちに検討されているシステムについてご相談してみませんか?
















